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第2部 一章【ジンギ!】その1 第二話 読みづれえ

Auteur: 彼方
last update Date de publication: 2026-02-02 23:33:31

2.

第二話 読みづれえ

 その日以来、北山銀次は旧友の萬屋勝(よろずやまさる)の店を手伝うようにした。と言っても言われた時に来店して間を埋めるだけだが。給料は必要無かった。ゲーム代だけタダにしてもらえればあとは自力で勝てるからだ。

 そうしているうちに人の上に文字が浮かび出る現象がまた現れる。

(なんだ、あれ?)

 気にしないようにしていた。自分が数年前まで脱法ドラッグをやっていた事による後遺症(幻覚症状)のような気がしていたから、そんなものは見えていない。そう言い聞かせていたのかもしれない。しかし、やっぱり見える。

 その日、夢を見た。

…なぜ、見ようとしないんですか。あれはあなたの能力ですよ。見ればいいんですよ、使って下さい。私が与えた力…

ジリリリリリ!!

(うるせえ!)ガン!

(あー、今日は10時に来店してくれって言われてたっけなー。よし、起きっかー)

 夢のことはまた覚えていない。

 能力を持つ男、北山銀次。彼は自分のその授かった力を使うことを知らずに今日も真剣勝負をしに行くのだった。夢で見たことも覚えていないのだから仕方ない。

 この、能力を持ちつつ使わない日々はなんと半年以上続いた。

◆◇◆◇

 その日はしっかりと夢を覚えていた。なんだかよく分からないが相手がイラついていたからかもしれない。

…いい加減、上の文字読んでくださいよ。あなたの好きそうな仕様にしたんですから…私の力をお願いだから使ってよう…シクシクシクシク…どうせ今回も忘れるんでしょ。もう、嫌い。ばーか…

「ンだとこの! ……夢か。なんだったんだアイツ。上の文字読め?」

(あれは気のせいじゃなかったのか)

「変な夢見たせいで早起きしちまったな……」

(とりあえず忘れないようにメモしておくか。アイツ泣いてたしな)

 口は悪いが女には優しいジンギは夢の中の女(?)にすら配慮した。もう泣かせたくないと思ったのだ。

 風呂に入り、全身を洗う。鏡に写る自分の身体の入れ墨にニヤッと満足する。その胸元や腕にはKuokoa《クーオコア》と彫ってあった。ハワイ語で『自由』という意味である。

 風呂を上がるとドライヤーで長い髪を乾かし後ろで一つに縛る。

(よし、少し早いがもう行くか)

 今日は雀荘でだけ人の上に見えるあの文字を読もうと思って決意して家を出た。

 愛車に乗って雀荘へと向かう。

ガッ、ガッガッガッガーーーーー!

「ヒューー」

(さっみいな。今日は巻くか)

 縛っていた長髪を解き、首に巻く。こうするとマフラー代わりになり少しあたたかいのだ。

 公園を横切り、階段を飛び超え、自分がスケボーで走れるルートで雀荘へ向かう。

────

「到着っと!」

 上の文字を読む。それを決めて階段を登るのは少しドキドキした。一体何が書いてあるのだろうか。

 ガチャ。

 カランコロン

「いらっしゃいませー!」

 そう言う店員の頭上にはこう書いてあった。

 守護騎士(ガーディアン)Level59

(画数多い漢字使うなよ、読みづれえ……)

 これが能力を見た最初の感想だった。

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